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地震津波リスク評価(東京海上日動)寄附研究部門について

地震津波リスク評価(東京海上日動)寄附研究部門メンバー

 2012年4月、東京海上日動火災保険株式会社の寄附を受けて、東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)内に「地震津波リスク評価(東京海上日動)寄附研究部門」が開設されました。当研究部門では、東日本大震災の被害実態やこれまでの巨大地震における津波(波高分布や到達時間)を評価し、国内外における社会での脆弱性や防災力を考慮した被害推定や発生確率を加えた津波リスクの評価手法を研究します。また防災・減災に関するセミナー開催や防災教育ツールの開発等を通じて、得られた知見を広く社会に提供していきます。

■目的

 地震津波リスクに関する研究を展開するため、国内外での地震による津波の評価(波高分布や到達時間)をベースに、社会での脆弱性や防災力を考慮した被害を推定し、さらには、発生確率を加えた総合的なリスクの評価手法について検討を行います。


■研究内容と活動

  • 地震津波リスクについて共同で研究を実施
  • 国内外での津波リスクデータの収集と整理
  • 東日本大震災での被害実態と復興関係の情報収集と整理
  • 各種シンポジュウム・啓発活動の実施
  • ■メッセージ


    今村 文彦 (教授)
    imamura

     地震・津波リスク評価における体系的な仕組み・手法を構築することで、より信頼性の高い推定が可能となり、沿岸地域での減災計画を行うための基礎情報として、安全・安心な社会づくりに貢献したいと考えています。特に、津波リスクは今まで手つかずの分野であり、国内外からこの成果を求められております。今後、国内外でのリスク評価を実施し、体系的な予防防災・減災への支援、さらには、リスクを転化する免災というシステムを構築していきたいと思います。

    サッパシー・アナワット (准教授)
    suppasri

     アジア・アフリカ10ヶ国以上へ大きな影響を与えた2004年インド洋津波を経験し、さらには世界で最も津波対策レベルが高い日本でも大きな被害を受けた2011年東北地方太平洋沖津波も経験しました。それらの経験から総合的な地震・津波リスク評価研究の必要性が高いと考えます。そのため、国内外の研究ネットワークと共に、過去のデータ、数値解析モデル、現地調査等によって、国内外地震・津波による人的・建物的リスクを評価します。その結果を社会へ提供し、より災害に強いまちづくりへの提案をしていきたいと思います。

    山下 啓 (准教授)
    yamashita

     東日本大震災で確認されたような複合的で複雑な津波挙動・被害の予測・評価手法の高度化は、今後の津波防災・減災にとって益々重要でしょう。津波被害は浸水被害だけではありません。東日本大震災では、強い流れが地盤を削り濁流となり、自動車や船舶、更には家屋等、あらゆる物を巻き込んで市街地を襲い、甚大な被害を引き起こしました。更には砂浜や海底は大きく攪拌、沿岸生態系が破壊され、その結果、沿岸域の生物多様性が損なわれました。沿岸生態系の縮小は人間社会にも長期にわたって負の影響を及ぼし、今現在もその影響は残っていると言われています。そこで、私たちは、津波氾濫・土砂移動・漂流物移動の複合現象を解析可能なシミュレーションモデルの開発・高度化を行ない、複合的で複雑な津波挙動による人的・物的被害のリスク評価手法の構築に取り組みます。さらに、沿岸生態系(藻場)の津波リスク評価にもチャレンジし、個人・社会・生態系・環境を対象とした、
    より総合的な津波減災システムの構築を目指したいと思います。



    武田 真一 (学術研究員(教授))
    takeda




    内田 典子 (助教)
    uchida

     生態系は,私たちの生活に必要な水や食料,エネルギーや,憩いの場,さらには防災・減災効果も提供してくれます.たとえば,東日本大震災時の津波においても,海岸林が構造物の損壊を防ぎました.このような防災・減災を含めた生態系サービスを享受するためには,その提供元である生態系が,さまざまな攪乱に対して自律的な回復力=レジリエンスを持っていることが重要です.生態系レジリエンスには生物多様性や生態系間のつながりがカギを握っている可能性が高いと言われていますが,さまざまな生物相や生態系の多様性を,しかも長期的に調べるには技術的限界があり,実証が困難でした.私の研究では,いま急速に発達している生物調査技術「環境DNA」を用いて,河川から沿岸域までの生態系を対象とした多様性モニタリング・多様性評価手法の確立を目指します.生態系レジリエンスの確保に重要な要素を明らかにすることで,真に持続可能な社会の基盤つくりに貢献したいと思います.



    宮本 龍 (助手)
    miyamoto

     自然災害のリスクを定量的に評価・把握するためには、まずは、自然現象の発生メカニズムを可能な限り明らかにし、該当地域におけるハザードを適切に評価する必要があります。その上で、評価した自然災害ハザードに対する物的被害の程度や人的被害の程度を見積もります。こうした基本的なリスクの評価手法を踏まえつつ、過去から積み上げられた数多くの知見・データや数値シミュレーション技術を駆使し、より信頼性の高い津波リスクの評価手法を構築していきたいと考えます。



    保田 真理 (プロジェクト講師)
    yasuda

     地震や津波のみならず、風水害など、災害列島とも呼べる日本に暮らしている我々は厳しい自然環境と上手に付き合い、日々の暮らしを守って来た長い歴史があります。災害科学国際研究所の中で、地震津波災害リスク研究部門の研究者は、リスク評価を通じて如何に減災できるのかを日々探求しています。地域社会に有効な減災対策を発信することに努めて行きたいと思っています。



    佐藤 雅美 (技術補佐員)
    sato

     



    杉浦 加奈子 (事務補佐員)
    sugiura

     


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